祖父との思い出は、いつも土とともにあります。
田んぼ仕事のトラクターに乗せてもらったこと。畦道で一緒にお茶を飲んだこと。落ち葉と籾殻で焼き芋を作ったこと。
土に触れ、作物を育て、器をつくる。祖父にとってそれらは、特別なことではなく、日々の暮らしの中にある営みでした。
自然と向き合い、ひとつひとつ丁寧に生み出された作品には、飾らない人柄と、ものづくりへのまっすぐな思いが息づいています。
本展では、祖父・鈴木久雄が生涯を通して手がけた器や花瓶をご紹介します。このような形で祖父の個展を開催できますことを、大変嬉しく思っております。
展示作品はすべてご購入いただけます。その手から生まれた器のぬくもりが、これからまた、誰かの暮らしの中で長く大切に使い継がれていくことを願っています。
どうぞゆっくりとご覧ください。
作家のご紹介

鈴木 久雄
陶芸家(1918–2012)
1918年、千葉県木更津市生まれ。千葉県立木更津高等学校、千葉師範学校(現・千葉大学)卒業。
県立木更津高等学校で教鞭を執るが、戦時中に陸軍へ入隊。戦地に赴くことなく終戦を迎える。戦後は本家を継ぐため教職を離れ、農業に従事した。
農業に励むかたわら、60歳を超えてから、館山市の千葉県立老人大学(現・千葉県生涯大学校)陶芸科で2年間、陶芸を学ぶ。卒業後もさらに2年間、同校の窯で制作を続け、土に向き合う時間を重ねた。
65歳頃、自宅の敷地に作業場と窯を設けて本格的な制作を始める。暮らしの中で使われる器や花器、壺など、一つひとつを楽しみながら、数多くの作品を生み出した。
2012年、94歳で逝去。